よくあるご質問

木質バイオマス発電について

木質バイオマス発電とは

木質バイオマス発電とは、木質バイオマスを燃やしてタービンを回して発電する仕組みを指します。

 発電方法は、製材端材や木質チップを直接燃焼させて、発電させる「蒸気タービン方式」と、木質バイオマスをガス化して、燃焼させる「ガス化-エンジン(ガスタービン)方式」に分かれます。

蒸気タービン発電方式とは

 蒸気タービン発電方式は、木質バイオマス燃料を直接燃焼し、ボイラーで発生させた高温高圧の蒸気で蒸気タービンを回して発電します。

ガス化-エンジン(ガスタービン)発電方式とは

ガス化-エンジン(ガスタービン)発電方式は、木質バイオマス燃料 を化学反応(熱分解や酸化還元)により可燃性のガスを発生させ、エン
ジン(ガスタービン)を回して発電します。

発電施設の検討(計画段階)

立地条件について

木質バイオマス直接燃焼発電施設の立地条件
木質バイオマス直接燃焼発電施設の立地条件

一般的に、木質バイオマス利用設備は化石燃料設備と比較し、広い敷地が必要となります。発電施設の建設に際しては、送電条件やユーティリティ(※)条件について検討します。

(※)ユーティリティとは:プラントの運転に必要な電気
水、空気や燃料を指します。
図の出典:福島県木質バイオマス安定供給の手引き

規模と構成について

発電施設は、熱利用施設と比較して大規模で、タービンや発電機、復水器、中央監視室等、設備が大掛かりになります。関係するメーカーに問い合わせ、システム構成や性能、費用等について確認し、計画施設の条件を考慮し、木質バイオマス利用システムを検討します。

事業経済性と評価について

発電施設の出力規模や燃料調達を考慮し、関係事業者(土木建設、メーカー等)と協議しながら、事業に関係する費目について積算し、事業採算性の検討を行います。

設備投資回収計画(案)について

1520 年程度の事業期間(設備の法定耐用年数を考慮した年数)を想定し、事業採算性、設備投資回収年数を検討します。

なお、計画時に検討した事業採算性は、設備導入・事業開始後には随時見直し、当初計画と大きな差異(特に、事業採算性を悪化させる差異)に対しては、改善策を検討します。

発電施設の検討(実施段階)

事業体制の構築について

木質バイオマス発電事業の場合、事業規模が大きくなるため、様々な業務領域が拡大し、事業に関わる関係者も増え、障害発生時のリスクも増大します。

したがって、専門分野の分担により経営効率を向上させ、リスクの分散化を行う協同体的な事業体制を実施することも検討します。

木質バイオマスの供給者例:
素材生産業者、森林組合、チップ工場等

技術・運用・資金関係者例:
プラントメーカー、プラント運営経験のある事業者、銀行

関連法規への対応について

通常の施設設置事業とは異なり、木質バイオマス発電事業においては、「電気事業法上の資格者(発電所勤務経験者、ボイラー・タービン、電気主任技術者)」を設備の条件に応じて確保する必要があります。

資金調達について

木質バイオマス発電事業においては、初期投資額も膨大となります。関係省庁、県、市町村に問い合わせ、利用可能な助成制度について情報収集を行います。また、自主財源の工面、金融機関からの借入等についても目途を立てておく必要があります。

燃料安定供給のための連携について

年間数万㎥以上の燃料用木質バイオマスを使用する木質バイオマス発電施設への安定供給を行うためには、供給側(素材生産業者や木質バイオマス燃料製造事業者)と利用側(木質バイオマス発電施設等木質バイオマス利用施設)間での生産流通体制を構築するための協定締結などによる連携を図ることが有効です。

関係事業者間で広域連携できる体制を構築し、木質バイオマス発電施設への安定供給を図ります。

事業説明会の実施について(住民理解への対応)

木質バイオマス発電事業(大規模木質バイオマス利用設備)計画時には、関係する環境規制等、法律基づく施設整備を実施し、近隣住民へ十分に事業説明を行い、理解を得ることが肝要です。

放射性物質への対応について

現状:

  1. 放射性物質を含む木質バイオマスを燃焼した後に発生する灰には、放射性物質のほとんどが濃縮、残留します。
  2. 放射能汚染地域圏内に位置する木質バイオマス利用施設では、
    放射性物質が濃縮した灰の処理が問題となっており、木質バイ
    オマス利用施設の稼働を停止している施設もあります。

対応:

  • 環境省から出ている廃棄物の処理方針を遵守し、燃焼灰等を適正に処分します。
  • 放射性物質を含む木質バイオマスを利用する設備には、放射性物質の拡散を防ぐ設備の設置を行います。
  • 放射性物質の低減技術については、コストや技術を検証し、導入の可否を検討します。

FIT固定価格買取制度とは

FITの概要について

2011 8 26 日に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立しました。これに基づき、2012 7 1 日より固定価格買取制度(Feed-in Tariffs のこと。以下、FIT と表記)がスタートしました。

FIT とは、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス等といった再生可能エネルギー源を変換して得られた電気を、国の定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けた制度のことです。原則として、再生可能エネルギー源を変換して得られた電気の買い取りに要した費用は国民が電気代の一部として払う賦課金によって賄われます。

制度開始後、特に太陽光発電を中心に、着実に普及が進んでいます。しかし、電気利用者の負担増加や、発電設備が長期間開始されない未稼働の案件の増加など、種々の問題も明らかになってきました。再生可能エネルギーを一層普及させながら、これらの問題を解決するために、固定価格買取制度は2017年4月に法律が改正されました。

新しい制度では、再生可能エネルギー発電事業を適切に実施できるかどうか、事前に事業計画を通して確認することとなります。

FITと木質バイオマス

発電に使用する木材の種類と買取価格

「FITの概要」で先述したように、バイオマスは再生可能エネルギー源とされており、それには木質バイオマスも含まれています。 

バイオマスをエネルギー源とした2018(平成30)年度の電気の調達価格を上表に示します。燃料区分や発電出力によって、電気の調達価格が設定されています。これは、再生可能エネルギー電気の調達価格が、再生可能エネルギー発電設備の設備設置や運転・維持に要する費用のほか、燃料調達に要する費用等を考慮して決められているためです。 

木質バイオマスの燃料調達費用は、山間部からの材の収集・運搬を含んでおり、FIT を活用した林業活性化が各地で始まっています。