附属書(規定)木質チップのサンプリング方法 1

1.適用範囲

 この規格は、粉塊混合物―サンプリング方法通則JIS M8100および欧州規格の固形燃料のサンプリング法EN 14780:2011に準拠して、出荷直前にある木質チップを対象にしたサンプリング方法に編成し直したものである。

2.用語の定義と概要

 サンプリング法に用いる用語の定義と概要は次による。

  1. ロット:木質チップを生産、取引、輸送、保管する際にグループ化された製品単位をいう。ロットを構成する木質チップの量をロットの大きさという。
  2. インクリメント:1ロットからの試料サンプリングにおいて、試料採取器を用いて1動作で採取できる単位量の試料を言う。採取できるインクリメントの量をインクリメントの大きさという。
  3. 小口試料:数個のインクレメントを集めた試料をいう。
  4. 大口試料:ロットから採取したインクレメント、また小口試料の全部を集めた試料をいう。
  5. 縮分:集合体からサンプルを取る場合、集めたサンプルから徐々に量を減らして分析用試料を得る操作をいう。
  6. 分析用試料:ロットの成分の平均的性状を測定する目的で採取した試料をいう。この試料から物理特性用(粒度分布、かさ密度など)、水分・発熱量用および成分用(灰分、元素組成、重金属など)の試料に分別する。

3.サンプリグ方法

3.1 試料採取および試料調整の概要

 ロットから所定の大きさのインクレメントを必要数採取し、それらを集めて小口または大口試料とする。この大口試料を必要に応じて縮分して分析用試料に調整する。

図1.試料採取および試料調整の概要
図1.試料採取および試料調整の概要

3.2 試料採取の手法

 試料の様態に応じて、次の方法が採用される。

(1)ランダムサンプリング

 ロットを構成する試料の単位体、または単位量がいずれも同じ確率で採られるようにインクレメントを採取する方法。

(2)系統サンプリング

 ロットの移動中に量的、時間的又は空間的に、一定間隔で試料を採取する方法。ロットの大きさを採取個数で除した値未満の整数値をもって採取間隔とする。

図2.系統サンプリングの概要
図2.系統サンプリングの概要

(3)二段サンプリング

 ロットをいくつかの部分(一次サンプリング単位)に分け、先ず第一段としてそのいくつかの部分をランダムサンプリングし、次に第二段として、その中からそれぞれいくつかのインクリメント(二次サンプリング単位)をランダムにサンプリングする方法

図3.二段サンプリングの概要
図3.二段サンプリングの概要

(4)層別サンプリング

 ロットをいくつかの副ロット(層)に分け、それぞれの副ロットからインクルメントをランダムサンプリングする方法。通常、層の大きさに比例してインクルメントの数を調整する。

3.3 インクレメントの大きさの決定

 ロットの最大粒度(試料のふるい上残留率が5%に相当するふるい目の大きさ)によって表1に示す体積以上とする。採取に際してはJISに規定する番号のインクルメントスコップ(図4)を利用することが好ましい。

3.4 インクレメントの採取個数の決定

 ロットの大きさによって採取するインクレメントの最小必要数を、表2に示す数量以上とする。ただし、採取試料が必要とする分析用試料の量よりも少ない場合は、インクリメントの大きさを大きくするよりはインクリメントの数を増加する方が好ましい。

表1.木質チップの寸法区分とインクルメントの大きさとの関係
表1.木質チップの寸法区分とインクルメントの大きさとの関係
図4.インクリメントスコップ
図4.インクリメントスコップ
表2.ロットの大きさと採取するインクリメントの最小必要数
表2.ロットの大きさと採取するインクリメントの最小必要数