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小規模木質バイオマス発電の技術選択

 小規模発電で有望な技術として「小型蒸気タービン」、「ORC(Organic Rankine Cycle)」、「ガス化発電」 があげられます。ORCやガス化発電は、欧州では豊富な実績を有し、活躍している技術で、これから国内においても普及が期待されています。
 それぞれの技術は導入規模、熱の利用形態、原料規格、オペレーションなどで異なる特性を有しており、地域ごとの条件を踏まえて、正しい技術選択のもと、導入を進めていくことが大切です。

出力規模と排熱特性

 それぞれの技術ごとに設備費、発電効率、ランニングコスト等の違いがみられ、事業採算性の構造も異なることから導入する出力規模も異なってきます。発電出力の規模帯でみると、2,000kWに近い規模では蒸 気タービン、数百kW以下の規模ではガス化発電、その間の中規模帯がORCといった棲み分けとなります。 最近では2,000kW級のガス化発電もみられるようになっています。
 発電に伴い発生する熱の規模も異なるため、それに応じた熱供給先の確保が求められます。
 また、熱の性状が、ORC、ガス化発電の場合には、80~90℃の温水、蒸気タービンの場合は蒸気(抽気による 高圧蒸気、タービン排熱の低圧蒸気)と、性状が異なるため、熱利用の際には考慮する必要があります。

燃料要件

 燃料の性状は燃焼の安定性、発電効率、発電出力、燃料消費量、設備トラブルに影響し、採算性にも大きく関わってきます。
 燃料の品質の順守徹底は非常に重要なポイントになります。 蒸気タービンやORCは、ボイラや投入口の設計次第で高水分率の生木・枝葉、さらには形状が不均一な燃料の使用も可能ですが、設計条件と異なる品質の燃料を用いると効率が低下したり、燃焼が不安定になることがあるので注意が必要です。
 ガス化発電は、ペレットや乾燥チップが用いられるなど、含水率、形状、灰分、組成など、木質燃料でも高い品質の燃料が求められますが、小型でも高い発電効率が得られます。

オペレーション

 技術や規模等の導入条件により、発電所のオペレーションの要件が異なります。
蒸気タービンの場合、「電気主任技術者の選任」「ボイラー・タービン主任技術者の選任」「設備の常時監視」 が必要となります。
 それに対し、ORCとガス化発電の場合、規模によって電気主任技術者の委託が認められています。ボイラー・ タービン主任技術者については、小規模(数百kW未満)のガス化発電の場合は不要とされており、ORCの場合は規模による選任の緩和が認められています。また小規模のガス化の場合は遠隔常時監視制御が可能で、 夜間の無人運転が可能となっています。ORCの場合は、現状では常時監視が必要となっており、現在、欧州での無人運転の実態調査が進められています。